day's photo.

メッセージボード


先 日 投 稿 し た「あ の 日」は、本 当 に 素 敵 な 一 日 だ っ た の で す 。

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ボクのHPのワークショップ案内ページからあるご依頼を受けたのは今年の2月の事でした。
ご依頼主は障害者のライフサポートの活動をされているNPO法人のスタッフの方で、皆さんが新たに取り組んでいるプロジェクト「スタジオ*乃まま」運営の為の簡易スタジオに於けるポートレートライティングのレクチャーというものでした。

スタジオ*乃まま」は、【たとえ障害を持って生まれて来たとしても女の子で生れてきた以上、晴れの日には晴れ着を着せてあげようではないか。お母さん、重度だからとあきらめないで日本の文化の色、形をまとわせてあげましょう!私たちにそのお手伝いをさせてください!】というポリシーの元に立ち上がったプロジェクトであり、その根本には自ら障害児を持つ母親の深い愛情の心があるのです。ちなみに「スタジオ*乃まま」のネーミングには「あなたらしく、そのまま。。で いいのよ」という母親ゆえの愛がこめられています。
もともとこのプロジェクトの立案者でありボクにオファーをくれたスタッフのIさんも障害児を持つ母親であり、ご自身が写真を趣味とされている事もあり「晴れ着を着せて綺麗な写真を残してあげたい。」という母親としては、ごく当たり前の想いから何か写真によるサポートを…とお考えになったそうです。しかし、そんな一見当たり前のように思われる想いでさえ、重度の障害をもったお子様を持つご両親様の多くは「時間をかけての着付けや写真撮影は難しい…」と諦めてしまっているのが現実であり、そんなご両親を励ましたいと言う想いが根底にあるのは言うまでも有りません。


ボクとしても正直なところお話をいただいた当初は多少の不安もありました。
ボクに撮れ…と言うのなら機材を持ち込んで撮れば良いだけの事なのですが、今回の件は長期的な取り組みであり、自分たち(母親たち)の手で…というプロジェクトなのです。そもそも、晴れ着姿の撮影なら写真館で…と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、慣れない環境に戸惑ったり、じっとしている事自体が困難な重度の障害をもったお子様をお持ちのご両親様の中には、普通なら何でも無い事を諦めている方が少なくないのです。ならば障害児を持つ自分たちの手で…というのがこのプロジェクトの主旨なのです。
正直、写真を生業にしているボクにとって、その事実は身に詰まされる思いでもあります。きっとご両親様が諦めてしまっている要因の一つには「写真館」等で撮影すると迷惑をかけてしまう…という理由もあるのではないか…そして、そう思わせてしまう原因の中には写真に携わる者や業界の認識不足が多少なりともあるのでは無いか…と思ってしまうからなのです。

最初にオファーをいただいてからは、Iさんとはプロジェクトを進める上で最低限必要な照明機材や道具、材料等の話をメールで何度もやりとりしながら計画を温めていきました。スタジオとして使えるスペースから、使用する照明器具、集中する事やじっとしている事が難しいお子様の「引き」「寄り」の写真を短時間で撮り終える為のレンズ選択などなど…出来る限りの提案はさせていただいたつもりですが、果たして現場で十分な対応が出来るのか…小さな不安を感じつつも時は経過し、そして先日の5月17日の土曜日…いよいよレクチャー当日を迎えました。

当日は、Iさんのお嬢様とNPO法人の代表を務めるSさんのお嬢様にモデル役を勤めてもらっての試験的な撮影でしたが、繰り返しになりますが、集中する事やじっとしている事が難しい彼女達に着物を着付け、カメラや照明器具の前に一人で立ってもらうという、ボク等には想像も出来ない緊張感を強いる訳ですから、迅速に、そして…やるからにはやはり素敵に撮りたい!撮ってあげたい!という強い想いと意思を現場に居る全ての方から感じました。Iさんのお嬢さんが着付けをしてもらっている間に、簡単にストロボセッティングのレクチャーをしながら準備を進めていきましたが、あっと言う間に着付け終了!(@@;) 当日の着付けは代表のSさんのお母様が行ってくださいましたが、81歳になる今も現役バリバリの先生で、とても若々しく、しかも…お美しい方でした。(〃∇〃) しかも仕事が早いっ!と言う事で、レクチャーもそこそこに実践スタートです。(^^;)

もう、その後は怒濤のような撮影・ライティングの微調整の繰り返しでした!(^^;)

そして撮影は熱気溢れるスタッフの皆様の働きっぷりのおかげで順調に進行し、いよいよ終盤を迎えたそんな折り、ボクはとても感動的で印象的なシーンを目の当たりにしました。最初にモデルさんになってくれたIさんのお嬢様は障害が軽度という事とカメラマンが自分のお母さんと言う事もあったと思いますが、とても頑張って素敵な笑顔と可愛いポーズをとってくれ撮影も予想以上にスムーズに進行しましたが、二人目のSさんのお嬢様は、やや重度の障害を抱えており、じっとしているのがなかなか難しい状態でした。撮影中も一瞬止まってくれたかと思うと、すぐに前後左右に動き出してしまいます。そんな状態の中でイイ瞬間を少しでも多く撮ってあげようと必死にIさんはシャッターを切っていました。撮影を終了し画像を確認中の事です。ふとIさんのお顔を見ると目に溢れんばかりの涙を浮かべていました。実は…前後左右に動くSさんのお嬢さんを必死に撮影したカットの何枚かはピントを外してしまっていたのです。無理も有りません!仮にボクが撮ったとしてもきっと何枚かはピントを外したと思う状況でしたから…。でも、その涙は失敗をした無念さだけのものでは無かったように思います。そう…晴れ着を着る事自体難しいのでは?と思っていた二人の障害を持ったお嬢様達が、ちゃんと晴れ着を着て目の前に立ってくれている!しかも頑張って笑顔を向けてくれている!その事実を喜ぶと同時に、困難な事だと感じていた今回のプロジェクトの明るい未来を心から感じ、溢れた涙だったのではないでしょうか。

ほぼ三ヶ月に渡った今回のプロジェクトに関するIさんとのメールのやり取り、そしてあの日実現したプロジェクトの第一歩…多くの感動をいただいた日々でしたが、撮影が無事終了し安堵の気持ちに包まれている中、ボクに更なる感動の瞬間が訪れましたっ!「これ…」とIさんから差し出された『メッセージボード』。ずっとテーブルの上にあったようですが、何しろ短時間でやる事てんこ盛りでしたので、失礼な事にボクは全く気付きませんでした。ホントごめんなさい!(><;) このメッセージボードを拝見した時は、もう疲れもぶっ飛んでしまいましたし、何より…こんなに暖かい心で迎えていただいた事に感動すると同時に、本当に役に立てたのか…という疑問も入り交じった、いろんな想いがこみ上げていた…そんな「あの日」の午後でした。



長文・乱文になってしまいましたが…
写真を生業にしている方、写真を趣味にしている方、そして写真には興味は無いけど、このブログを覗いてくださっている皆さん!
今回このような素敵なプロジェクト発足の末席に参加させていただいたボクの事が羨ましいでしょ?(^m^)

ボクはね…誇らしい気持ちでいっぱいです。



Iさん! Sさん! S先生!「スタジオ*乃まま」のスタッフの皆さん!
そして…
モデルを勤めてくれた二人の素敵なお嬢さん達〜っ!
本当にお疲れさまでした!

素敵な時間を共有させていただいた事、深く感謝しております。
本当にありがとうございました!




最後に…この翌日、Iさんからいただいたメールの中にあった一節をご紹介させていただきます。皆さんに知っていただきたい「想い」です。

『今、妊婦の採血だけで胎児の染色体の病気が高い精度でわかる新型出生前診断が、行われています。異常が見つかった場合、十分なカウンセリングを受けないまま中絶が選ばれる可能性もあり どちらを選んでも、悩んで苦しむことになることがあります、
でも、ハンデは、私達からすると、1つの個性だと思っています。むしろピュアな個性に、学ぶこともおおく、娘の存在は私の人生をとても素敵なものにしてくれました。だから、あなたは そのままで、ありのままで、いいのよ。20(はたち)になったら、何のためらいもなく、着物を着て、節目をむかえましょう、そして、あなたらしく、また 一歩を踏み出そう。。。という発信が出来たらと思っています。』


Iさんをはじめ「スタジオ*乃まま」の皆様の、この素敵なプロジェクトが広く深く浸透し、賛同の輪が拡がって行く事を切に、切に願いつつ…





AS DIGITALPHOTO CREATIVE 硯谷 昭広






SONY α7 + Carl Zeiss Sonnar T FE 55mm F1.8 ZA
developed : Adobe Photoshop Lightroom Ver.5.4 Camera RAW 8.4 - 64bit

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by asdpc | 2014-05-21 08:57 | Workshop